現代では初詣の際などにお馴染みのものとなった「おみくじ」。そのルーツは古く約1000年前に遡ります。このおみくじを最初に作ったのは、比叡山延暦寺中興の祖・元三大師(良源)であると言われています。第18代天台座主(天台宗の最高位)である元三大師は、「厄除け大師」「角大師」などの別称でも知られており、天台宗・神峯山寺にも所縁の厄除け札と、一般的なそれとは少し違ったおみくじが今も存在します。
その一番の特徴は、「参拝者一人では到底読めない」という点。親切心に欠けると思われるかもしれませんが、これまでお叱りを受けたことは一度もありません。何故なら、引いたおみくじを神峯山寺の僧が一つひとつ読み上げ、解説をするからです。これは神峯山寺におみくじが生まれてからずっと貫いているオリジナルのスタイル。読み上げるだけでなく、行間に隠された意味を丁寧に解説して、未来への道標となる助言をします。
神峯山寺のおみくじは、江戸時代より伝わる版木で今も刷られている、神峯山寺オリジナルのおみくじです。全部で32通り。大吉から大凶まで万遍なく納められています。当然、大凶を引く機会も均等に発生しますが、肩を落とす必要はありません。おみくじの内容は、あくまで参拝者に「気づき」を与えるためのもの。日常生活でふと忘れていることや、不摂生、不義理などに気づき、より豊かな人生を送るために自らを戒め、気持ちや生活を改める機会を作ることが、おみくじ本来の目的だと神峯山寺は考えています。